~北京~
こんな夢を見た。
時は2008年8月、真夏の太陽がギラギラ照りつける北京の
『国家体育場』
嘗て、なにわの韋駄天ボーイと呼ばれたその男は、100メートル決勝の舞台に立っていた。
「準備~」・・・・パーン!
スタートダッシュよろしく、その男は先頭を切ってグングン加速して行き、ゴールまであと10メートルで金メダルを確信した。
ところがゴール寸前、男は両サイドのレーンから突如追い抜かれた・・・・そのゼッケン番号は、52番と31番。
ゴールし、倒れこんだその男の脳裏に1年前の春の苦い思い出が蘇る・・・・
「くっそ~ 腰が、腰さえまともやったら~!」
「あいつらに負けやせんとったがね~!」・・・・
「お客さん!お客さん!もう看板なんですわ!」
「ん~ うにゅうにゅ、え?メダルは?ヒック」
「お客さん、寝ぼけてるんですか?ここは藤原通りの
『割烹・直久』ですよ」
「え?ヒック、あ、そうか、オヤジ後一杯だけちょ~らい、ゲボッ」
「お客さん、ちょっと飲みすぎですわ、お連れさんも帰ったし」
「ん?俺、誰と来てた?ヒック」
「いや、名前は知りませんけど、ん~顔はゆうたら悪いけど、猿みたいな顔してましたわ、ほんで2人ともベロベロなって、レギュラーがどうのこうの、○○の奴、怪我せえへんかな~ バットで足しばいたろかとか、そらぶっそうな話してましたで」
「あっそうか、分かった、ハハ、ヒック、オヤジ、冗談や、冗~談!ヒヒヒ、いや~そんな事ゆうてたんか~ハハハ まぁええわ、オヤジおあいそ!」
「あいよ!これですわ」と、オヤジがレシートを差し出した。
「ゲゥッ!7万はっしぇん3百円? どえりゃ~たけ~でよ~ ヒック」
「あの~ そら幻の銘酒『久保田(智寿)』2本も空けてるんですから」
「ヒック、まぁ、しゃ~ない、ほんで、ちゅれは金置いていったんかな?ゲブッ!」
「いや、この人の方が、給料いっぱいもろてるゆうて、帰りはりましたわ」
「ウィ~ しゃあないやっちゃな~ はいこれ」
千鳥足の帰り道、もう春だとゆうのに首筋が寒くなっているその男の脳裏に、さっきの夢が蘇り、ポツ~ンと一言つぶやいた・・・・「北京か、目指してみよかな~」
第一夜 ~焼きそば~
第二夜 ~岡田構想~
第二夜外伝 ~トレード~
第三夜 ~血液~
第四夜 ~シャドー~
第五夜 ~ぐるぐる~
第六夜 ~濁点~
第七夜 ~ミーティング~
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